栄養不足改善事業では、マニラとヌエバエシアを訪問しました。
ヌエバエシアはマニラからバスで5時間くらいのところです。
バスは深夜2時から夜遅くまで毎時間出ています。バスの運賃はとても安く、片道たしか300円くらいでした。まずはPhilriceという米の研究機関を訪問しました。
こちらは、25年前にJICAが支援して建てた施設ですが、10年ほど前にJICAの職員はすべて撤退し、その後は韓国の政府機関がファンドして運営しています。
ビタミンを強化したゴールデンライスや鉄強化の鉄強化米を遺伝子組み換えやハイブリッドで作る研究をしています。当団体の栄養強化米事業で提携していただけるよう話ができました。
その後、Munos市の市長を訪問し、鉄強化米事業の実施のお願いをしました。
市長さんもかなり興味を持ってもらい、市のすべてのバランガイキャプテンを一同に集めて、事業の説明を行いました。
その後、Munosの大学へいき、キノコの研究をしている教授に案内していただきました。
当団体でもマリキナでストローマッシュルームの栽培による生活向上事業をしていたため、相談に乗っていただきました。
キノコは生えてこないのですが、やはり生育の条件があるようで、1週間くらい研修にこればすべてのことが学べるから、いつでも来てほしい、と言われました。また、栄養強化について大学での特別授業の講演も是非お願いしたいと言われました。
アテネオ大学の教授と、彼の農場を見せてもらいました。
気骨のある方で、自分の農場で、米やキノコをモデル栽培して、研修生に収益性の良い作り方を教える研修センターをする計画をしています。我々の別事業では、トマトのビニールハウス栽培をデモンストレーションする農業試験場をケニアに作る計画をしている話をし、是非こちらでもやりたいという話をしました。土地もスタッフも自由に使ってもいいといってくれており、今後の事業展開の一つとして楽しみです。池では、食用にテラピアを育てていました。黒いテラピアは安いのですが、ピンク色のアルビノタイプのテラピアで大きく育つとかなり高価で販売できるそうです。
また、キノコに関しても彼がタイで3年間研究し博士もとってきたそうで、その技術も使って、非常に採算性の高いキノコ栽培をしています。まだ初めて2か月だというのですが、たくさんのキノコが生え始めていました。
オートクレーブとは、レトルト食品を作るときに行う殺菌工程で使う設備のことで、通常120度で20分くらい処理します。研究室などで小さな電気の窯を使ったことはあるのですが、こちらでは直火での過熱なので、驚きました。フィリピンでは、おコメの消費は1000万トン/年なのですが、いまだに200万トン以上輸入に頼っている、世界最大のコメ輸入国です。こんなに広い土地とよい気候なのになぜか、と疑問に思いますが、いろいろ理由があるようです。政治家のコラプションも一つなのですが、灌漑設備が整っておらず、水がないので収穫量が少ないようです。日本では、水が引けないところに田んぼを作るなんて考えられないと思いますが、そういう基本的なところでつまずいているんだな、と思いました。
また、田んぼに草や他の作物が生えていたりして、日本の農家ではありえない雑な管理をしています。彼の場合は、十分な灌漑をおこない、また草などもきれいに取っていました。
4種類の田んぼでそれぞれ有機栽培と無期栽培と品種を変えたりして、比較し、研修生に有機栽培の良さを伝えるのだそうです。さらに彼のコンセプトとして共感しているのは、貧困層の生活向上のための研修施設として無料で開放する予定だということで、我々の別プロジェクトの基本コンセプトとも共通しているので、とても感激しました。是非今後とも情報交換していこうと話をしました。