IFAT規約 1. フェアトレード取り組みの基本指針 途上国の最貧層にある生産者が、社会、経済、環境面において望ましい暮らしをおくれるように充分に配慮した交易を行う。すなわち、公平な取引条件のもとで、公正な報酬や対価を保証することを意味する。貿易の構造、仕組み、実際の取引のあり方や態度について、不公平がないかを確認し、不公正な取引をなくしてゆく。協調し合うことによって、競合はしない。生産者の犠牲の上に立つ利益の追求ではなく、生産者に利益をもたらすために、フェアトレードと社会正義を促すことを考える。 2. 透明性 会計の状況、経営方針、実際の商取引、製品の原料とその入手ルート、製造方法、販促、商品開発や企画運営全般についてなど、あらゆる情報を交換し、経験を分かち合う。それによって、会員組織だけでなく一般の人々も、 IFATと個々の会員組織の社会的、経済的な影響力や活動の波及効果を評価することが可能になる。この「公開性」は、知的権利や政治的立場に関わる事項に関し、互いに尊重し合う必要がある。 3. 倫理性 雇用の平等、情報公開、革新的な労働条件など、組織の仕組み自体に「公正さ」を徹底する。それぞれの組織に合った方法で、労働者が意志決定や運営管理に関与できるように促しつつ、最低限のコストで可能な限り生産性の高い経営を行うこと。労働者に対し、生活のための最低限のニーズとして、医療ケア、教育費、貯蓄など充分な収入を保証できるよう目指す。 4. 労働条件 最低でも現地の法定基準をすべて満たす、安全な労働環境を保証する。労働者一人ひとりが成長し、潜在能力を活かし、伸ばせる機会を提供する。また、品質と作業効率を高めるために、適切な技術や機材を採用し、人間としての尊厳が守られる労働条件を保証する。 5. 雇用機会の平等 差別をなくし、労働の搾取や貧困、人種、民族、文化、性的な偏見などに苦しむ人々に対して、男性、女性に関わらず平等な雇用の機会を提供する。 6. 人々への配慮 人間とそれを取り巻く自然生態系への影響に責任を持ち、持続可能で人々が生活の質を高めることのできる、真の「開発」を促す。児童の労働を搾取してはならない。事業活動が、先住民の存続に必要不可欠な生活手段となる、土地をはじめとするいかなる資源をも、奪い取るようなことがあってはならない。 7. 環境への配慮 環境にできるだけ負荷の少ない商品の開発、取引を推進する。また、現地の環境生態系にそって、原料、素材、その他あらゆる資源が枯渇することのないよう、維持管理を行なう 8. 文化的背景の尊重 生産者の文化的背景や伝統、また現地に豊富な自然素材を活かした商品の開発及び生産を心がける。文化の保存、継承を促す一助として、生産者の芸術的才能や独創性、部族に伝わる伝統的な技術や知識を活かす 9. 教育と啓発 フェアトレードの普及を目指して、一般の人々が環境への配慮と社会問題に対する関心を高め、消費のあり方を見直すように働きかける。途上国の貧しい人々の暮らしの向上のために、国際レベル、あるいは国レベルの政策に対し、キャンペーンを自主的に、あるいは協力して行う。フェアトレードが従来の不平等な仕組みや考え方を変えてゆく有効な手法であることを、一般の人々及び企業に広く認識されるように働きかける。「南」の国々の文化と伝統のもつ価値への関心を高めることで、異文化に対する理解や敬意が深まることを図る。 (ネパリ・バザーロ/グローバル・ヴィレッジ訳 2000年6月) |