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「アグロフォレストリー」それは次の世代への架け橋

プロジェクト名ココナツ農家のアグロフォレストリーへの転換を通じた気候変動対策
対象国 フィリピン共和国
地域名 レイテ州 アルブエラ市周辺農村地域
レイテ州 北東部タナワン市周辺農村地域
レイテ州 北東部パロ市周辺農村地域
活動期間 2015年~2018年 アルブエラ
2019年~2021年 タナワン
2020年~2021年 北東部パロ
現地実施団体 WAND財団
助成 地球環境基金 アルブエラ 事業総額 6,700,000円
トヨタ環境助成プロジェクト タナワン 事業総額 6,900,000円
三井物産環境基金 北東部 事業総額 7,000,000円
概要 2013年11月のハイヤン台風の襲来によって甚大な被害を被ったレイテ州北東部タナワン市周辺のココナツ農家及び地域環境に対し、アグロフォレストリー(AF)への転換と植林による生物多様性の向上を通じて、気候変動に対する適応能力を強化する。 AFシステムは、農民間普及に意欲を示すデモファーム農家を活用し、多種類の果実、樹木、野菜、茸類の有機栽培を台風被災ココナツ農家への訓練を通じて普及させる。さらに、本事業を引き継ぐことになる地元組織を一次農協として活用し、農産物の販売を通じた農家収入の増加を図る。
agroforestry lecture in Layte
Philippine Map
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活動報告

対象地域:北東部パロ

2022年

地球変動対策ユースクラウドファンディング2022

2021年

地球変動対策ユースワークショップ 2021

2020年

SDGs体験 地球変動対策ユースワークショップ 2020
事業開始  Project start interm reprot

2019年調査 Northeast rural survey

対象地域:タナワン

2020年1月~6月2年目中間報告  Second year first half interim report
2020年8月~12月1年目後期中間報告 Interm report
現地視察 Visit to Tanawan
2019年8月1年目前期中間報告 Project start in Tanawan Interim report
2019年1月事業開始 Project start
 

対象地域:アルブエラ

2018年2017年8月地元組織(WACCA)へ移管 3年目
2017年4月~2018年3月アルブエラ事業地 2年目
2016年4月~2017年3月アルブエラにて事業開始 1年目
2015年5月~2016年4月WAND財団 レイテ島西部農村地域調査 オルモック・アルブエラ

活動風景

Tanawan City Rural Community Activity Video (6min)
July 2019 WAND production

事業必要性の背景

フィリピンでは、201311月、国内でヨランダと呼ばれる台風ハイヤンが襲来し、被害が最も酷いレイテ島をはじめとする国の経済、社会及び環境に深刻な被害をもたらした。この台風による国内の犠牲者の数は、1万人あまりともいわれている。台風ハイヤンの地元農村の環境・経済に対する主な影響は、ココナッツ農家の生活と周辺森林に対する深刻な打撃である。台風ハイヤンの襲来は、熱帯樹木とココナッツ樹木の大規模な破壊・消失をもたらした。これにより、土壌浸食の深刻化、地滑り(レイテ島北東部タナウアンにおいては複数世帯の犠牲者を出した)、ならびに淡水供給の減少などが帰結した。このため、熱帯樹林の回復が急務である。

しかし、被災地域の農家の多くは、長年のココナッツ農業依存により、いまだにココナッツ栽培以外の農法を知らない。さらに、多くのココナッツ農家は、仲買人によって媒介されたココナッツのローカル取引システムに埋め込まれており、他の作物を販売する方法も知らない。彼らは、ココナッツ樹木の喪失によって生活の術を失い、もっぱら援助や非農就労に依存してきた。ココナッツ農業を再開したくとも、新しく植えた樹木が成長して収穫果実を実らせるまでには、少なくとも8年かかる。そのため、彼らはそれまでに代わりの生活手段を得る必要がある。さらに、将来、被災農家が収入源としてココナッツのみに依存し続ければ、気候変動によって誘発される同様の災害が発生した場合、同じような災難に遭う可能性もある。したがって、ココナッツ栽培の回復だけにとどまらず、地元の森林の回復及びココナッツ農家の農家経済の回復が急務である。

活動の戦略及び対応策

提案するアグロフォレストリーシステムは、種々の野菜、根菜類や果物を組み込んだ混合農業である。これらの作物は、農家世帯の消費用だけでなく、彼らの市場販売のためにも使われる。ココナッツの木も、将来の収入源として栽培される。植樹される竹(筍)、高付加価値果実樹木および木材用の樹木は、自家消費や販売用として使用されるが、これらは経済的目的に限らない。それらは、台風の影響で地表を覆う森林が破壊されたことで地表の風速が上がり、むき出しになった土壌が雨で海や川に流されて、貴重な土壌が失われる土壌侵食の改善につながる。また、そのような植林活動により、森林土壌が降雨時の水分を長期にわたって保持し、定期的に一定量の利用可能な淡水を供給する、いわば「天然のダム」の機能を回復することができる。また作物や樹木は、有機農法や低投入技術に基づいて栽培されるため、農薬や化学肥料の使用が抑えられ、人々の健康と環境の保護に役立ち、プレミアム市場への接続を可能にする。さらに、ヤギと豚の飼育を通じて、糞尿が有機肥料として使用され、栽培する根菜類は家畜の飼料としても使用される(システム内物質循環)。このように、本アグロフォレストリー事業は、単に「被災した農家の復興」または「被災地の自然環境の保全」のどちらかに取り組むのではない。それは、被災した農家が地元の自然環境の保護を通じて、自らの経済基盤を強化し、自然と人間の両面から災害からの復興を果たすという、「環境と開発の共存」を重視する。事業開始一年目の2016年12月には、ヴィサヤ州立大学が対象地域においてココナッツ農家の現状に関する初期調査を行い、アグロフォレストリーへの転換を希望する農家を同定する。その後、ワンド財団は、転換希望農家に対して必要な資源および訓練を与える。転換が成功した農家は、他農家がその経験と方法を学び、他農家のための植材源としても機能するデモファームとなることで、農家間の農業普及を促進させる。予想されるリスクとしては、主に仲買人によって媒介されている地域市場において、個々の農家が食品を販売する困難である。この困難に対し、デモファームから選ばれた役員が代表としてマーケティング・販売を行う一次協同組合を設立することで対応する。

活動風景

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